時なしの鳥

暮れ残る空は蒼濃く時鳥

店に入ろうとする歩が停まった。

時鳥の声を聞いたからだ。
駐車場から田植がすんだばかりの田がつづき、そのすぐ向こうに目にもはっきり分かるわりと大きな古墳。
どうやらその百メートルとない近さの古墳の裾を巡回しているらしく、夕方の交通ラッシュの騒がしさの中でもよく聞き取れる。
間もなく暮れようという時刻で、未明の枕元によく聞くこの鳥はいったいいつ寝てるのだろうかと不思議になってくる。
「時鳥」と書いたり「不如帰」「杜鵑」とも書いたりする鳥だが、昼夜と分かたず鳴くのでまるで「時なしの鳥」とでも呼んでよさそうである。

見よう見真似で

禰宜巫女の所作真似くぐる大茅の輪

今月のネット句会が休会となった。

年に一回選を受ければよしとしなければならないほど、厳選このうえない。
今月の兼題は「茅の輪」だったので一句詠んでみた。
茅の輪は六月末日の夏越しの祓の前後に神社に設えられてる。早いところではそろそろ見られる時期だろう。
この輪の大きさ、数などやくぐりの作法にも神社によって微妙に違う面があって、それは現地での案内やあるいは見よう見まねで従うことになる。
こんな小さな社に?と意外に思われる場所に設えられることもあり、見つければ輪をくぐって穢れを祓うことにしている。

日の目を見る

家長でも父長でもなくファザーズデー

六月第三日曜日。

世に父の日と言うそうである。
子供たちが小さい頃、感謝しようにもそもそもその父親は滅多に家にいなかった。
今さら祝ってほしいなどと願っても詮無いことだ。
ひきかえて最近の若いお父さんはやたら家族に優しい。子供だって父親のことを怖がらなくなったろうし、やっと父の日も日の目を見る時代になったのかもしれない。

日曜農家

パラレルに曲がるも田植機械かな

何条か同じように曲がっていて機械で植えたのが一目瞭然だ。

盆地は田植真っ最中。
終わっている田だって昨日今日終わったばかりというのがよく分かる。
昨日今日と悪天で、特に今日などは昼過ぎまでピーカンの晴れだったのに午後から大荒れの風雨。
田植の途中で休止しているところも見えて、上がったのが夕方だから恨めしそうに空をにらんでいるお百姓さんもいた。
この週末で一気に植えてしまいたいところも多いはずで、残りの明日にかけるしかないようである。

荒梅雨の予感

荒南風の夕には雨を伴ひて

昼間の空は台風が近いのではないかとさえ思わせる空模様。

明るい空に白灰色の雲が南の方からつぎつぎと飛んでくる。
庭のものががらがら転がったり、風対策に追われる朝だったが、予報通り夕方から雨が混じってきた。
これから明日にかけて風雨が強まるとか。梅雨には入ってない今からして、なんだか今年は荒梅雨の予感たっぷりである。

嫌われ者の効用

どくだみの生き生き生きる薬草園

陰湿な場所を好み隠れもののイメージ。

ところが、薬草園では畑の一角を与えられて堂々と日を浴びている。当然と言えば当然だが。
匂いも強くて嫌われ者でもあるが、意外な効用として雑草さえ忌避してしまうと言うくらい頼もしさもあるのだ。
ただ、放置しておくと手がつけられないくらい蔓延してしまうので、そこら辺は手加減が必要なのは無論である。

挿し替え

藷挿して根付かぬ苗の溶けにけり

時期が遅く売れ残りだったせいか、もともと苗がよくないのは分かっていた。

10本中半分ほどが活着に失敗したようで、成長点である先端もろともいつの間にか消えている。
一度はあきらめようとは思ったが、あれば儲けもの程度に考えて苗専門店に行ってみると意外にいい苗が残っている。
必要な本数だけ分けてもらって帰ったことは言うまでもない。
ただ、さすが関西だけあって、鳴門金時が幅をきかせていて、お気に入りの紅吾妻でないのが残念だが。